世界に
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【○】 FTPで更新!便利!余裕を持った頻度!

ことわざWikipedia Dominic

【バイト】 Bluetoothのキーボードが欲しくなったが浪費は控えるか


●書くやつ(ホンマかいな)
斜線堂侑李『キネマ探偵カレイドミステリー』について
ムラタユスラ『夜が明けるまで』


2/26 座右の書2『ワルツ(重兼芳子)』

 my座右の書その2とか言いながら高校以来久々に読み返しました。10pも読めば色々と思い出し、特に記憶に残ってる部分は半分ほど。
忘れていたのは。
血の繋がりとかいうしょうもないもの、
同情を誘いやすい/誘いにくい障害者、
より下のものがいるとホッとする、
祈りをしたと主張して恩着せてくるやつ

この辺りは記憶から抜けていました。年月を経て重要視するよになったのか、自分とは関係ないから忘れたのか、逆に完全に内面化して思い出すことがなくなったか。
僕が『ワルツ』に対して、よく励まされていたのは、『肉体を含む自己肯定』と『肉体を除く自己肯定』ですかね。
語り手の里子は、生まれつき股関節が悪く、手術した後も肩を揺らして歩くが、これを指摘されたり無関心されりしてイラついたり安心したりするけど、最後は『自分の肉体を信じてみよう』で出産を決意する。戦前の『家同士の結婚』ではなく個人個人としての結婚を経て、一個人として、なんか関節悪いし無事に産めるか知らんがとにかく、とにかく、まあ『信じてみよう』、っていう投げやり感含めて、最高。『ハッピーウェディング前ソング』の出産バージョン?
肉体を除く自己肯定は分かりやすくて、とにかく『寝っ転がって過ごして〜〜』のみ。昔はこれが出来なかったんすねぇ。僕が今現在シェアハウスの一畳だけで平気なのは、これを読んでたおかげかも知れません。寝っ転がれるから、ま、ええか。って。足に錘つけられたりしてないし、誰かに隠毛を丁寧に剃られたりしてないし。

全体、里子はグズのインキャなんだけど、健気なので可愛いです。が一番人気は「可哀想は可愛い」茜でしょうか。
見舞いはおらず傍目に分からぬ障害を持つ根暗な里子がぐんぐん経過良好なのに対し、家族に愛され祈られ金かけられ分かりやすい障害を持つ堂々とした茜が状態悪化していくの、対比が対比しすぎてちょっと笑うくらい。

タイトルにもなっている『ワルツ』については、あまり記憶にございません。女学徒時代の体操に怖い思い出があって、踊りは無理ってなっていたけど、(たぶん)パンスケに誘われて踊ってみたら、めちゃ褒められ、嬉しくなる。コンプレックスと思っていたものが、怖く無くなる。そのリズムにのって、過去を乗り越えて、勢いで言うのが最後の最後の『やはり肉体を信じようと思った』まで引っ張る。

人間、肉体も脳も一つなんだし、比べてもどうなるでもないので、それでやってくしかないのだよなあ、という話。(森博嗣の言葉やG戦場ヘヴンズドアなどを連想しながら確信を深める(深める必要もないくらい明白でもある…))


2/13 小さい脳みそでほんの少しだけ考える

 いま現在、長期留守中の友人の家にペットの世話役として泊まっています。友人は女性で、恋人なるものもおり、留守を預かるときにちらっと顔合わせ。なかなか好青年。短い間に「自分はズボラなので、世話するつもりがいつの間にかペットに世話されてるかもしれません。不安なので様子見に来てくださいー」と小ボケで誘ったものの、特に連絡なし。
「恋人の家になんか知らん沖縄人がいたら気になって顔出したりせん?」
「そげな怪しいやつ、こわっ近寄らんとこでしょ」
そういうもの? まあそう言うものかもしれんけども。

恋人には興味あるけど、恋人の交友関係にまでは興味ないもの?
うーん。まあそゆものかもしれない。「会ったことある友人の友人」はいるとて、それ以上に、「会っていない友人の友人」の方がずっとずっと多いはずなので。

訳わからん沖縄人が姿見せたことで、彼氏さんがやな気持ちにならなきゃいいけど。
というか留守を僕に任せることってその辺考慮してんのか? 僕が(そのときは)無職で、住まいも一畳あるだけのシェアハウスだから、頼むに都合いいとは考えたろうけど、自分の家を勝手にされることの嫌悪とかないのかな?

うーん。

と考えたのは、ほんの少し。
僕が考えてもしゃーないことだな、と思ったので。
僕にできることはペットの世話をちゃんとすること、ペットの写真を送ること、汚したり壊したりしないようにすること、それくらい。
相手と自分、ならまだ考えようもありますが、「他人」「他人と他人」でありゃ、僕がいくら考えても、どうしようもありません。念力も神通力もないので。

「僕はものを考えないようにするのが得意です」という話。金がなくても食うものなくても、これのおかげで鬱や自殺に至らず。いまも勝手にBluetoothのキーボードを借りてHPをこうして更新しています(家のものは勝手に使っていいよと言質はとっているので、大丈夫でしょう(←勝手に大丈夫と思う思考停止)キーボードを使っていなければ更新していたか定かではないので、厚かましくキーボードを使っているおかげでホームページが更新されています)
しかし、まあ、ものを考えないことがメリットばかりなはずもなく。
思い浮かぶことは、最近のジャッキーさんからの会話アドバイス。夜学バーの会話で「相手を試すような」、「自分の判断で切り捨てて、閉じて、可能性を潰しているような」僕の会話の癖。
「大丈夫かもしれない」「大丈夫だろう」という、自己中心ななんくるないさ運転。
うーーん。
僕が別に「僕が考えることではないので、あとはお若いもの同士でごゆっくり」と思うことは、かまわない、はず。
人ん家に泊まることと、コミュニケーションの問題点をつなげたのは「自分の判断ですぐ閉じちゃう」ていう点だけど。
僕は、いま留守を預かってるのは「いい」けど、会話は「いくない」と思っている。
ペットの世話に注力するように、飲み屋の席の会話が出来ているか? と考えれば。
ペットの世話は、かなり「利他」でやってる。なら席の会話は「利己」になってる? なってないとは言えないけど。なってるか。「茶化し」「馬鹿にし」に続いて「価値なし」と「見下し」をやってるっぽいか。もうちょっと相手を喜ばす? そういう考えはダメか。喜び組になっちゃう。女じゃないので。おきなわ って女?

うおおおおおお! 世界に親切とかいう初心忘るるべからず。
あまり自分勝手に決めつけず利他的にいきたいものですね。(あるいは信頼?)


2/11 発声の練習

 あまりに舌が動かないから聲出た(Twitter構文)
サザンオールスターズを最近聴き始め、巻き舌を出せるようになりたーいと思い立ち練習。
 結果、舌まで無職と判明。嘘。週2くらいは働いてます。巻き舌の他にも、舌のポジションが低すぎるとか、らりるれろの発音が違うとか、肺活が少量だとか、問題噴出。一所懸命に発声練習したら、手足が痺れ、顔が痙攣して、舌小帯は赤くなりちぎれそうになってる。おおげさでなくコレホント。
 ときおり休むのが一番。そして継続は難しい(ここの更新頻度が物語る)


2/8 第二次金ないない状態の終わり

 金がないのかあるのかよくわからない状態でしたが、どうやら、あるようです。やったー。12月頃の見通しは、貯金食い潰して2月あたりでシェアハウスにも住めなくなって一番寒い時期に無宿か〜とか思っていたけども、12/26にバイトの紹介があって、28に面談、29に初勤務、そっから一回遅刻二回寝坊したけどもなんかオッケーっぽい。ゆる〜。週2で8時間労働+拘束睡眠時間8時間で給料が月10万っぽいので、大丈夫そうです。どれだけもらえるかもよく分かってなかったし、実労働30分くらいだから月給5000円でも文句ないけど、ちゃんと口約束通りの金を振り込んでくれるようで嬉しい。良心的でサイコー。助かり〜。稼いだ金でインスタント麺に野菜入れて〆にゴハン入れて食べ、納豆食べてトマト食べてバナナ食べて、酒も飲んでエンゲル係数が高まりまくり。休憩時間はひたすら暇で本を読みまくるためKindleを使いまくり。払えるかな〜どうだろな〜とか思ってたけど、払えました。安心安心。『本好きの下剋上』の関連書籍が全部揃ってうれC。


10/6 第一次金ないない状態の終わり

 大量の飯をAmazonで買い、引き落とされる前に金を避難させることで二万円分の借金。もっと買ってもよかったし、Amazonでなく普通にスーパーでクレカ使ってもよかった。クレカや口座が凍結されていないか不安を抱き続ける(現在進行形で未確認)。 総合所持金はマイナスだが現金があるのでセーフ。と思っていたが働かないため日々の浪費でどんどん減っていく。証明写真を撮る。バイトの面接に行く。失業保険は説明会に行かなかったため諦めていたが、バイト先で雇用保険加入のため、いやいやハローワークに行く。すると、説明会は行かなくていいし、最初の認定日はスルーしてもokといい、バイト開始日が次の認定日の前日だったため、49日分の失業保険が貰えることに。あと一日でも遅れていたらアウトだった。これ貰えるんなら働かんでええわという気分になる。支払いは10/7か開けて10/11。ここまで耐えりゃオッケー。住も年末まで支払い済みなのでセーフ。早い寒波に、シェアハウスの住人たちが早めの衣替え。余った服をもらう。衣もセーフ。バイト先は池袋。なぜか現金が足りなくなる(酒と、つまみのウィンナーとアイスと冷たい蕎麦のせい)。電車代削減のため体調不良のため欠勤とする。10/6、うまくいけばバイト先の週払いの日。しかしマイナンバー提出が必須で、マイナンバーカードはなくした。マイナンバー入りの住民票はあるが、その場合、顔写真付きの身分証明書が必要。そんなんない。しかしマイナンバーカードの表面は、住まい獲得のため写真に取っていた。「住所が前住だと気づかないでくれ〜」と思いながら、住民票とマイナンバーカードの表面を提出。提出物は「その他の証明書」。マイナンバーカードを持ってるなら住民票で出すわけないので当然っちゃ当然。結果待ち。賃金が振り込まれるなら、専用のサイトに「賃金」と表示されるが、前日まで表記なし。もはや祈り。祈りが通じ、今日振り込まれることが確認できた。アーメン。


7/16 カルトしかない

 カルトが話題になっているので。

立派なカルト宗教2世(モルモン)で産まれたのでまあ、宗教とカルトには親しみを覚えているのですが、そういう、「異端」の意味のカルトではなく、世で言われている「異常者ども」の意味の、カルト。
カルト〜。
カルトは仕方ないよ〜。人間、脳みそは一個なので。賢い人も愚かな人も、みんな脳みそは一個。一個の脳みそが基準。そっからはみ出て、あれやこれや想像することもできるけれど、それはあくまで、自分という中心(原点)から散歩するもので、結局戻ってくるのは自分。自分という位置が、たとえば神がいるとして、神の布置する象限図の特定の位置(x,y)に自分が置かれたとしても、そこが第一でも第二でも第三でも第四でも、自分にとっての(0,0)の原点。もちろん成長や反省、あるいは教育や教化によって位置を変えることがあるとしても、神にとっての位置が変わっただけで、自分自身、とくに「今の自分」にとっては変わらず(0,0)。全ての風が自分に向かって吹くように、ひとつの体ひとつの脳にある世界は、どうしたって、自分が中心になる。
(0、0)以外に自分を置くと、ふたつのことが起きる。ひとつは、信念。そこへ向かう、という意志。自発的な成長、と言ってもいいけど、(+、+)に向かうばかりではないから、まあ、変化くらいに言ったほうがいいかな。
もうひとつは、乖離。病気ですね。自分の位置はここなのに、そこだというなら、事実をよく捉えられてないということで、まあ、病気です。コンフォートゾーン的な意味でも、なかなか生きにくいのかなという感じはあります。
ただ、「現状からの脱却」のようなテーマの場合、その生きにくさをバネにする、跳ね除ける、打ち克つ必要があります。
今はここ、次はそこ、というような時系列に従ってとらえている方が正しく見えますが、でも、「私は本当はこう」という頑なさこそが力になることもあるので、ケースバイケース。

でえ。
えー。
なんだっけ

僕の好きな話に、「未来はすでに過ぎ去り、これから過去がやってくる」という話があります。理屈は、全く忘れました。ただ、聞いた時に、面白いなと思ったので、ずっと覚えています。
また、「かつて人は巨人だった」という話も好きです。これはよく覚えていて、コリンウィルソンが言っていたはずです。かつて月が近く、月の引力により地球への重力が軽くなり、そのため体は大きかった。という筋だったはず。

これは、まあ、物語です。物語でも、しかし僕は基本的に、かつて地球に巨人がいた、と思っています。面白いので。そして、かつて地球に巨人がいたかどうかは僕にとって重要ではないので。

証拠。とかではなく、面白さに従って。あるいは、その論証が出鱈目であるからこそ無為に採用することができる、という感じですね。 キャッチーでセンセーショナルなストーリーに飛びつく愚衆の一人です。
カルトを叩くのは、無駄です。なぜなら人間は一個の脳みそでうにゃうにゃ試行錯誤しており、取り替えることも比べることも、(少なくとも今の技術では)不可能なので。ただ、それでいいじゃんだと無思考の間抜けさんになってしまうので、なにかと探ろうとするのだと思います。他者とか、知識を。


5/28 水形明月『タツオの旅路』あらすじ、ポイント解説

 あらすじ

無職・精神病のタツオが異世界へ行くと、王女にみそめられ、二人で労働の苦のない南の島に移住し、性交する。その日タツオは神の使いに導かれ、癒しの力を持つ杖を授かる。また望みさえすれば地球との行き来も可能となり、二人は地球へと移住する。杖の力で医者として稼ぎ、特別でないありふれた生活をする。40年後、死に、天国に行く。

  章ごとの要約

1.主人公オオタニ・タツオは、魔術的な力によって言葉の通じない異世界・エルテル星のポルック王国へ転移する。転移先の酒場で雑用・料理人として雇われる。40代前半の女性が、身振りでポルック語を教えるという。ポルック語の習得には時間がかかりそうだ……。

2. 「五ヵ月後、僕はそれなりにポルック語がしゃべれるようになっていました。書き文字もバッチリです。」 言葉を覚え馴染み始めた頃に大家から、王女がタツオを見初めたという噂を聞く。全財産を持って王室御用達の喫茶店に行くと、華美な母娘がいた。二人は王妃と王女で、王女ミリアは、タツオに交際を求める。タツオ、それを受ける。王宮に招かれ、ミリアの家族ら(王、メイド、妹シャルロット)の歓待を受ける。日本の精神科医が虐待することや、将来の結婚の話などする。帰り際、スーツ一式と600万ゴルデ(600万円)を貰う。

3.下宿で寝ているとミリアが来訪、グラタンを差し入れして帰宅。部屋に戻ると寂しさを感じる。将来のことを思い、南国について調べる。南国のモール王国にはモール里芋があり、これは勝手に育ちそして美味しい。マンゴーやバナナも同様に、取りきれないほど自生している。この南国のガイドブックと、5000円の赤ワインを持って、ミリアにグラタンの皿を返しに行く。ミリアと王妃はレストランに行くところだったので、同伴する。麻布十番を思い出す高級住宅街にあるレストラン「緑の風」で、結構な値段のする11000円のコースメニューを頼む。(食前酒、そばの実の雑炊、鶏ムネ肉のナツメグ焼き、じゅんさいと絹ごし豆腐の吸い物、ライス、バジルステーキ、最後は辛口の白ワイン。)雑炊や豆腐は東方の料理らしい。料理は美味しかったが、タツオには聖書で肉食が禁じられてないのが不思議だ。帰宅して、バイトをやめる旨を伝えると、休んだから減額とされた。しかし600万円貰っているから構わない。

4.デートスポットの下見のため、片道2万円かけて湖へ。水鳥に「鳥さん」と話しかけたりしたが、飽きる。本当は湖よりも海が好きなので、ミリアと海に行きたいと思う。 王宮に行き、ミリアと会うと、熱烈な抱擁を受ける。ミリアの部屋に入ると、香の香りがし、彼女はタツオをベッドに誘う。タツオは童貞で、ミリアは処女。口づけしたところで、ノックの音。メイド、ティーポットがここにあるかと尋ねる。続いて妹シャルロットが、服のほつれを直してと言う。裁縫するミリアを見ながら、タツオは仕事をする自信がないと言い、モールド王国に行かないかと提案する。ミリアは都会から離れることを怖がったが、文明は進まない方がよい、都会特有の労働の疎外がない、モールの仕事は楽、と説得。その日にモールに移住することを決め、翌日にビザとチケットを貰う。王妃はミリアに400万円を渡す。3日後、ささやかな結婚式を挙げる。

5.モールに行く船内で、声を出さないようペッティングする。モールにつくと、用意された空き家に住み、自生された里芋・マンゴーをとり、釣りをする。夕食はそれらを食べ、これが健全な生活だと思いながら、こんなものかとも思う。

6.その夜ミリアと性交し、夢で太陽の使いが現れ、地球に帰れると言う。名残惜しいが、地球で家族を心配させているからという理由でミリアも納得し、モールを離れる。船から流れ星が見え、もっと長く見える流れ星はないのかと思う。

7.王と王妃も、家族が心配しているだろうからとタツオの帰還を認めたが、ミリアも一緒となると、と難色を示したところ、太陽の使いが現れ、いつでも自在に世界を行き来できる杖を与えると言う。このような配慮は神の命令によるものらしい。

8.地球に帰り、母と会う。杖には癒しの力もあり、弱った胃腸を治してやる。杖の力で医者として働くことを決意する。一週間で300万円稼ぎ、厚生労働省へ行き、法律で医療行為の認可を受ける。大学病院に雇用され、お金持ちになる。

9.医師の同僚と、杖の力について試行錯誤する。職場の飲み会にも参加して、人生のリカバリーを果たす。杖は顔のあざや、切り傷もたちどころに治すが、タツオにしか使えない。労働し、よく眠った。

10.子が産まれた。医師として世界的名声を得たが、それは重荷だった。大学生時代の難しい授業で努力しなくなったことを思い出す。ポルック王宮に里帰り。王と王妃が孫を抱く。妹シャルロットはいない。民間人のような生命力があり、大学で飲み遊びしているため。ミリアは正反対で大人しく親の金に甘えていたが、子を産み成長しており、王と王妃は嬉しく思う。タツオは杖で、王のあざと、王妃の胃弱を治してやる。杖の力は素晴らしいが、神から与えられたものであり、虚しさもあった。

11.地球でさまざまな病、そして死後間もない者を治す。患者や同僚に褒められ、既婚であることを残念がられる。コンピューターゲームにはまり青春を逃したこと、共学ではなく男子校に入れられたことなどを思い出すと、ミリアに電話したくなった。ミリアの褒め言葉も杖が誉められているように聞こえる。気分が優れず仮眠をとっていると、夢で化け物がタツオを捕囚し、「オタクを否定することが自尊心を保つ」と言う。しかし素晴らしいアニメが素晴らしいことは変えようがない。目が覚め、患者を癒す仕事に戻る。はじめての精神疾患者で、効果は発揮したが、完治かどうかはわからない。

12.杖の力が自分の力でない虚しさをミリアに相談すると、神に授かったものと考えたらと言われ、神に感謝することに決める。自分が世間とは違う特別な人間だと思っていたが、当たり前の人間になりたいと思う。 その夜、太陽の使者から「杖の力で稼げるようになったんだから今度は投げ出すなよ」と言われる。

13.40年後、杖の力が別人に譲渡され、それが寿命と思い、テトラポッドで丸まって眠るように死んだ。

14.草原のような天国に行き、第二の人生が始まる。みな若い姿で、悩みもない。自生する木の実を食べ、すぐに飽きる。ミリアとまた会う日を楽しみにしていると、木から文鳥が飛んできて、肩に止まる。「ピー介!」 終

面白ポイント

・謎の本
タツオは謎の本の魔法陣をなぞることでポルック王国にワープするのだけど、この本の出どころが全く分からない。なにせ「僕は秘密の本を手に入れました。」が書き出しで、どんどん話が進んでいくものだから。

・即就労、即言語習得
ワープ先が酒場で、酒場の連中も驚いていると思うのだが、なぜか突如現れたタツオを雑用係として雇ってくれる。また言語を教えると買って出てくる方もいて、困ることがない。水形は明治大学のフランス語でつまづいて落単・中退するようになったらしいが、ポルック語は習得できるのだろうか。(あるいは、大学時代のコンプレックスをここで解消?)

・謎の青い光
タツオがワープした際、青い光を伴っていたらしい。これはもしかしたら特別な意味があるのかもしれない。のちに王女が「あなたは青い光に包まれてこのエルテル星に来たんですってね」と改めるシーンが以外でなんの言及もない。しかし、青い光は神に選ばれたもの、みたいな伝承があらとするならば、さまざまな無茶も解決しうるかもしれない。

・王女様の立ち位置
謎すぎる。この世界は王族が軽い。王女の意中が誰とか広まるものなんだろうか。宣伝してるのかな。

・すごい出会い
噂を聞いて全財産を持って、王族が通う喫茶店へ行くタツオ。なんだその店。しかもそこに噂の王女もいて、幸運である。いつもいるのかな。

・すごい名刺
「ミリア・ロワーヌ 二十六歳 ポルック王家・王女 マルナ県トレル市五丁目三番地」

・優しい人、面食い
王女、交際希望相手は優しくかつイケメンとのことだが、顔はともかく性根はどこで知ったのだろう。事前調査しての聞き取りかと思うのだけど、ひとつ前のセリフで青い光と共に現れたことを確認しているから、なにか青い光にまつわる伝聞があるのかもしれない。

・交際してあげます
「あの、私と交際してくれませんか。一般人と結婚すると王室から除名されるらしいけど、それでもいいんです」 「交際してあげます」 「ありがとう! 私の運命が開けました。本当に感謝します」 大丈夫かこの人ら。タツオ自ら他者に貢献するのでなく、周囲の人物がタツオを求める構図は多々ある。就労させたり言葉を教えたりとか。ここはその最たるもの。本当に王女か?

・セッ(以下略)の自論
城に招かれ城門をくぐるときに、「カップルが付き合って三ヶ月くらいでセッすることを信じられなかったが正しかった。自分は文通に一年も二年もかけてしまった」と思います。水形の小説には思い付きのように自論を拡げることがままあります。しかしここは「タツオが女の家に招かれたことがない」「家に招かれたのならセッ」という補助線をひけば、城門をくぐる時点でセッ準備完了していたと言えそう。あるいは、城門は処女膜の比喩?

・メイドのサリア
ミリアと似た名前のメイド・サリア。言葉の端々から、王族の方達と距離が近いところもあってなにかあるのかなと思ったけれどなにもなし。なんやねん。

・三留王様と高卒王女
民から舐められないか?大丈夫か?

・外堀埋め埋め
使用人「王女様のフィアンセ」 ミリア「多分タツオさんと結婚するから」 王「ぜひミリアの夫になってほしい」 会って初日の初対面でここまでぐいぐいなのすごい。特に王様、後継者のこと慎重に考えて。逆に、タツオ的な人と結婚するにはここまで押す必要があるようだ。

・謎のスーツ
翌日、もう王室と関係があるからと言われスーツと600万を貰う。また施し。このスーツは今後登場しないから物語上の意味はないのだけど、意味がないのに登場したのだから物語外の望み、つまり作者の本音が見えるかもしれない。まあ、スーツは会社人の喩えかな。いくらか前に服がよれよれ、という話も出たから、よれよれの自分を否定するためのスーツかもしれない。王女と関わりを持てばよれよれの今から脱却できるはず、という。

・無愛想な男
↑の600万を持ってきた王室の使いが、タツオには無愛想に見えた。なにか態度がよくなかったかな。で終わり。全員がタツオに好意的なこの作品で、彼の存在はちと異常。王室に急急急接近するタツオを警戒している、というのが自然な見方かな? 別の作品の「いつもどこでも、僕はその場所の男から不機嫌な態度を示され、女には好意を持たれるのが常だった。(スポンジ脳)」これと同じかもしれない。イケメンの弊害……。

・グラタン
王女、タツオの元にグラタンを持ってきてすぐ帰る。やっぱり下々との距離が狂ってる気がする。ちなみにグラタンの味は「すっげーうめー」。素朴。

・謎の寂しさ
王女ミリアからグラタンを貰い、自室に戻ることの独白。 "僕は部屋に戻りました。  そしてどうしようもない寂しさを感じました。 (でもミリアがいるじゃないか) ミリアと一緒の人生を生きていくのです。南の島に行くにしても、万全の対策をして行かなくては。  ……でも人間は一人で生きているわけじゃない。他のみんなに支えられて生きているんだ。" ここ、思考の流れがよく分からない。「寂しい」付近は人恋しさの範疇なので、まあ理解できる。ただ南の島に行く対策はするの?しないの?どんな対策をするつもりなの?正直「みんなが助けてくれるから対策は必要ない」に見える。のちに対策を練ってるようにも見えないしね。 他のみんなが助けてくれるさ〜っつって捨て鉢で移住する奴おる?(これ私だ……涙)

・謎の南国モール
トロピカルフルーツ100%ジュースを飲んで、南の島で働くのもいいなと思う男。 モールは自生する植物だけで生活できる南の楽園。のちの天国と類似するところがある。何種類かの食べ物だけで飽きないのかな。掘ったそばから増えるらしいので、放っておいたら地表が埋め尽くされたりするかもしれん。

・中村由利子風の曲
中村由利子は実在するピアニストで、小説内外の頻出ワード。とても素晴らしい音楽を形容する。

・そばの実
頻出ワード。喫茶店のメニューとして雑炊や吸物として出てくる。

・謎の信心
料理を食べた後、「仏教では肉食を禁じるがキリスト教はなぜ禁じない?」と思い馳せる。これまでキリストのキの字も出てこなかったからびっくり。水形は全体的にキリスト者・菜食主義でありたがっているが、それを完遂できていない。この章のラストに「日々手に入るものはすべて神様から来ています。」とあるがタツオがこれをちゃんと胸に刻んでいたら物語後半の虚しさを覚えなかったろうな。

・神様からの授かったもの、浪費
↑で神に感謝した金のうち、4万を即座に浪費。

・湖と海
ミリアと湖に行きたいと思い、ひとりで湖に下見に行ってみると存外すぐに飽き、湖より海が好きだと言い、ミリアと海に行きたいと思う。ここのスピード感が凄まじく良く、この人の望みってなんだろうという疑問がむくむく湧いてきます。海に行っても、海より川がいいとか言い出すのではないでしょうか。不思議な心理描写。湖でいちゃついてるカップルを否定し(心理的上位に立ち)たくて書いたか、あるいは湖でのデートは定番だけどnot for meだと言いたいのかな。

・処女と童貞
美しい二人に涙……。

・口づけ時に文通相手を思い出す
文通し部屋に誘われたが手は出せなかった、というエピソード。真偽不明。ただ城門をくぐるときにも文通について思い馳せていた点を踏まえると、「恋愛、恋愛の進展」に関する出来事として記憶されているようだ。でもまあキスしてるときに他の女のこと考えるな〜〜!

・謎メイド
「ティーポットの数がひとつ足りない。ここにありませんか」と部屋を訪ねるメイド、大丈夫か。来客あんのやぞ。いちおう補足するなら、メイドはタツオを怪訝な表情で見ているので、性交に対する牽制と見るのがよさそう。よさそうだけど、どうかなあ。「二人でベッドで何してるのかしら」にも見えなくもない。 このあと妹シャルロットも現れ、服のほつれを直してといい、メイドに頼めばと追い返す。この二人がつるんで邪魔or覗き見しようとしてるとしか思えない……。 今後の展開から言うと、二人きりの世界を作るにはそれはたとえ王宮のような場所であっても他の人がいてはいけない、という思想かな。実家暮らしの時に二人きりの世界(セッ)が出来なかったことの理由づけ?

・文明
文明の進んでない南の島に行こう、文明は進んでない方がいいんだよとタツオがミリアを誘う。先進国は労働の疎外のため辛い。マルクス。知らなかったので調べて、へぇー、とか思った。作者がアーティスト的成功を目指す理由でもあるのかな。

・400万
南国へ行くと決めてポンと王妃がくれた金。割と少ない(他作だと二億とか五億とか)が、今回は行った先での生活が原始的なものだからか。いつもの3階建てのバルコニー付きではない。

・時間
作中季節感が全くないため、明記されてる分の時間をまとめてみる。 ポルックにワープ。 五ヶ月後、王女と付き合う 翌日600万貰う。 (不明。もしかしたら上と同じ日?)グラタン (不明。上の翌日?)湖の下見、キス、南国行きを決意。 翌日ビザ取得 3日後結婚式。 (不明)出国 最短だと3日でモール行きを決めてるように見えるが、実際は不明。

・僕の本当の人生がここにあった
見送りに手を振る王、王妃、妹王女、メイドを船上から見ての一言。あったのか? 何をもって本当の人生としているのかまったく分からん。なに? 一目惚れの形で求められ大金を貰い結婚したこと?

・子供時代
甲板から熟れすぎた柿のような夕日を見ながら、子供時代の終わりを感じるタツオ。ちな36歳。南国モールについたらセッをすると言っているから、まあ、しゃあないのかな。ちな船室でペッティングはする。

・入植者歓迎?
モールでは永住希望者のために家が建てられている。至れり尽くせり。裏がないのか勘ぐってしまうが、ないようだ。移民を広く募って人口増による国力強化が目的なのかな。

・自生する食物
モール里芋は取っても取っても生えてくる。ひとり30個まで。 マンゴーは巨大なドーム状の木に数えられないほどぶら下がっている。ひとり3個まで。 魚はいくら釣っても良く、次から次に釣れる。 わお。

・悪魔がついている気がして悲しい
新情報。悪魔、みたいな素振りはまったくなく、あえて言うなら、グラタンのときに「どうしようもない寂しさを感じました」とあるくらいか。悪魔への結論は、悪魔は不幸なやつだから無視してみんなと幸せでいればいい、と言います。この結論を見てから、上記引用の後の文がよくわかる気がする。「……でも人間は一人で生きているわけじゃない。他のみんなに支えられて生きているんだ」 悲しんでいたらあたたかいスープを貰ったり、冷たい谷の水を貰ったり、人の温かい支えられ(≠支え合い)に涙が止まらない……。

・営み
"その夜、ミリアと僕は愛を営み、僕はミリアを貫きました。ミリアは気持ちよくなってきたと言いました。" セッのシーンはこれだけ。かなり淡白。 貫くとか汚すとか、そういう言い換えを好むので注目ポイント。

・謎の太陽の使い
夢に現れる謎存在。ポルックの公園に来れば地球に返すと言う。ちなモール来て初日。はたから見ればモールの生活がカスすぎて帰りたくなったように見えるが…。 モールは楽しく地球に帰ってポスティング(下層労働)するのも嫌だなあ、とタツオは思っている。ならモールに残りゃいいのに。謎。誰も強要してないのに。マジでなんなんだ。

・流れ星
流れ星に願いを言うのは短すぎて無理。もっと長く光る流星はないのかな、と言った後に、ミリアもいつか身籠ると想像。そして自分が臆病だと思う。ここの思考は難しいが、人生のライフステージ的なものをあげることをこれまで恐れていた、かな。交際結婚出産育児……これらの願いdesireは瞬きの間で、うまく願いを3回言うことは出来なかったし、長く光る流星もない。なので願いを叶えるいくつかの方法のひとつ「流れ星に頼る」は愚策、ってことかな。要検討。

・ご都合を超えたご都合主義
地球に行って帰ってこないならミリアまで行かせるのは……と王様が難色をしめしたところ、太陽の使いが現れ、ワープは自由に出来るし癒しの力もある杖あげる、という。タツオですら疑うレベル。ただ、使いたちは「神からのご命令だから」親切にしてると言う。タツオが自ら成したことってなに?全部与えられている。大丈夫か?物語的にも。全部与えられているが物語終盤の結論(全て神のおかげなので神に感謝しよう)から考えれば、そう間違ってなく一貫している。

・チートな杖で最強
杖の力で開業。法律も変え大学病院の医師として働く。万病どころか死者も治すくらいだからもっと力を発揮していいような気もするが。あと杖の盗難や人体実験や命を狙われる心配をもっとしろ。 異世界でチート能力使って大活躍するのではなく、帰ってきてからチート能力で活躍するの珍しい。タツオがポルックでやったことって持ち前のハンサムさで王女を魅了したくらいだしなあ。

・杖で稼いだ15%は納税
タツオの杖にまつわる新法の一文。納税も明記されることで自動的に納税の役割も果たす。納税が念願であることは他作品からも分かる。「税金を納めなさい!(別の星の花嫁)」「悪魔は国家であり、国家は税金の取り立て屋だった。(ふみちゃん)」「母は僕に無断で僕の分の税金を納めていた。まさしく過保護である。(アリス)」「統合失調症って税金を納めないからなるんですよね?(アリス)」

・人生のリカバリー
病院の同僚と飲み会をすることで人生のリカバリーを果たす。実際、飲み屋に行けば多少話を聞いてくれるものもいたのではないのだろうか。そう言う人多い気もするし。

・神様のいる確信
「貼り紙をしたら玄関から出ていった文鳥が帰ってきたり、母が携帯電話をなくしたら交番に届けられていたこと」で神がいるような気がするタツオ。実際、モルモンでは証会(あかしかい)と言って、信仰の証を皆に言う/聞く会があるのだけど、落とし物がすぐ見つかって、とか、子供がすくすく育って、とか、そういう話も結構あった。

・明治大学文学部フランス文学専攻
諸悪の根源。ここが難しすぎたため作者は大学を中退し精神病を発症した。 大学で努力をしなくなって中退し精神病になったが、そんな自分に奇跡の杖を与えたということは、神は努力しないことを肯定しているのだとタツオは考える。どうかなあ。 少し面白いのが、努力してもついていけなくなったのではなく、ついていけなくなったから努力をしなくなった。頑張ってたんですねぇ。

・キリスト者中退
タツオはかつてキリスト教を齧ったことがあり、信じてないが信じたい気持ちもある……という感じ。今回は「信じているといいことがあるので、信じることにした」そう。そう……。久保くんの「黒髪の方〜〜」を少し思い出す。

・妹王女シャルロット
大学で飲み遊んでいるよう。そのさまを「民間人のような生命力」と王が言う。ひょえー、やっぱり根強い思想があるもんなんすねぇ。

・ミリアと悪魔
地球に行って母になって成長したねぇと言われてミリア曰く「私はずっとサタンが支配するこの世界の悪におびえてた。でも、この世は悪だからこそ夢も持てるんだってことがわかった」と。初耳。何が言いたいのかもよくわからないし。まあ小説でキャラが妙なことを言い出したら作者の代弁と考えるのが妥当ではあるが、それにしてもよくわからない。悪魔だけどオッケーって感じなのかな。言葉のビジョンが見えない。要検討2

・虚しさ
「太陽の使いが僕にしかメリクを使えないようプロテクトをかけただけなのかもしれず、メリクを使える「資質」などというものはないかもしれない」「自分が高い能力を持っているのではなくメリクがすごいだけ」 メリク(癒しの杖)が借り物の力だと言う虚しさ。これは終盤でのキーワード。自覚あったんだ、という驚き。 まあ妄想して、妄想じゃなくて真実だと思い込みながらやっぱり嘘かもと思ったり嘘だと思う心を悪魔や幻聴にしたりするのは、統合失調しぐさとしてありそう。自作の中でうまく解決できるかな?(答・できない。なぜなら、神から与えられた特別なものがないので)

・田舎でメリク専門病院を建てるより都会の大学病院
メリク専門病院、タツオ以外メリクは使えないのだからどういう仕組みの建物になるか不明すぎる。大学病院の同僚も、ヒーローだと持て囃すけど、この人ら仕事あんのかな。

・ポルノ雑誌は悪!
「ポルノ雑誌ばかり読んでいる弊害、心が毒される弊害」「現実の恋の対象、生身の恋人がいればポルノ雑誌に毒されることもなかった」ちなみに恋人が出来なかったのは共学の高校に通えなかったため。失われた青春に涙……。人生の不幸には何の意味もない、と思う。

・虚しさ2
上のようなことを思っていたらミリアに電話したくなる。稼いで偉いと言われるも、自分じゃなくメリクを褒められたように思える。 (ボクノジンセイハメリクノオカゲデアンタイノヨウダ デモ メリクハボクノジソンシンヲキズツケル) 僕の人生はメリクのお陰で安泰のようだ。でもメリクは僕の自尊心を傷付ける。 まあ、降ってわいた癒しの力以外、大したものないだろうし、妥当。普通の人間にとって、これほどのパワーを「何の努力も理由もなく」与えられることは、まずない。実家が太い、めちゃくちゃ美人、音楽の才能が天才的、みたいな才能があったとして、幸運の上に発達があるし、整形で美人になったとてその金を稼ぐ努力があり、創作物が四苦八苦して作られてることは当たり前なので、降ってわいたとは思わないだろう。降ってわくのは、「才能がないのにあると思い違う」くらいじゃない?要検討3

・オタクを否定?
1.夢の中で化け物に鎖で繋がれる。 2.化け物が「オタクを否定することで自尊心が得られる」という。 3.目が覚めて、エヴァンゲリオンを思い出す。 4.素晴らしいものは否定されても素晴らしいことに変わりない。 自尊心は上記の虚しさ2と関連するから一旦おいとく。夢の化け物あるいは内心の悪魔あるいは深層心理?は、オタクであることを否定しろ!と言うが、否定しないぞーという話。否定する必要、なし。何十年前なら他者の抑圧が大きかったのかもしれない。またオタクであることを恋人がいない理由にしてるのかも? 自尊心の回復については、 メリクの肯定=-自尊心 オタクの否定=自尊心 肯定と否定をひっくり返してつなげるのはさすがに乱暴。ただメリクとオタクはちと字面が似てる。オタクの否定は悪魔の言葉なので、この等式自体が既にマイナスなものと考えると、オタクは自分(自尊心)だがメリクは自分(自尊心)じゃない、てことだろうか。まあ実際の作者はエヴァ好きではあるけど特別な能力なんて何一つないだろうしね。嘘、面白い小説が書ける能力がある。しかし誰からも評価を得られず一次落ちが続くのでした……涙。(自分以外にも分かる)特別な能力があればねぇ。本当にあればねぇ……。

・小便器からはね返ってくるしぶき、大丈夫でした!
(おそらく)潔癖症を治療したときの、患者の報告。続けて「多分手もあまり洗わなくなると思います」もかなり面白い。しかし、しぶきを怖がらなくなったのに、タツオは「精神疾患はメリクでも完治しないのかな」と評している。ここ、難解。怖かったのが怖くなくなって、明確な変化が出ているのに、完治しないのかなと予測している。精神病に寛解はあるけど完治はないというが、その話とも違うように聞こえる。難しく、また分からず。要検討4

・虚しさ3
メリクの力は神の授かりものだから神に感謝すれば?にタツオは納得し、虚しさを解消する。あっけない。 その後に続く言葉が大事で「自分が父親になれるとは思ってなかった」「自分を特別な人間と思うのはやめよう」「苦しかった人生も特別なものではない」「あたりまえの人間になりたい」と続きます。万病を癒す力を得てようやっと「普通になりたい」と思うんですねこの人は。『青春の終わり』ではベストセラー作家になって三階建ての家建てて処女と結婚してようやく「自分は平凡だ」と言い出すんですね。この作家の示す普通・平凡は、これまで不当に奪われた債権回収してはじめて普通に立ち戻れるように見えます。共学に通えなかった、恋人がいなかった、大学を中退した、精神病院にぶち込まれた、イケメンなのに自覚がなかった等々……。これらを全て取り戻さないと普通になれないというなら、もう、無理でしょうね。15歳に戻って進路を変えることはできませんから。無理、無理です、頭の中の世界を除いて。

・天国
草原で、なんのしがらみも案内もなく、食べ物は潤沢で、生き物は殺せないようになっている。自生する食べ物のくだりは南国モールに似ている。しかしこっちでは、食べ物はすぐに飽きている。つまらなさそうだ。 ラストにはピー介という文鳥が出てくるがこれはおそらく以前飼っていた文鳥。誰?て感じだが、この置いてけぼり感もまた良し。


5/14 美容外科、いーの?

 朋、遠方よりTel。また嬉しからずや。
 近況報告などした。元気そうで何より(まったく元気そうではなかったが)。

 ちかぢか美容整形をするらしく、やめとけ~という気持ちとやれ~という気持ちがある。もちろん本人の選択だからこっちがどう思おうが勝手にしてくださいなのだけど、まあ、聞いたこっちがどう思うのも自由なので。

 ポケットモンスター美容整形やめとけ/やれの内訳を考えてみる。

 やめとけの理由
 1.自助努力からしろ。まず痩せろ。自力で痩せろ。生活変わんないなら同じやぞ。
 2.薬やめろ。薬のめ。病気やめろ。健康でいろ。
 3.年齢による衰えはあきらめろ。寄る波には勝てん。

 4.すでに美しいのだから手の加えようがないのでは?(世辞。世辞に親切)
 5.現在のままの方がいい、のでは?(丸顔好きとかいう特殊性癖奴もいるらしいし)
 6.命にかかわらないとはいえ、手術を自分から受けに行くとか、怖……。

 要約すると、
 1.2.3は「あきらめろ」
 4.5.6は「わざわざそんなことせんでも」

 「あきらめてしまう」と、流れ流れてふと気づくと老後な、無為な人生になってしまうので、あきらめない方がいい。
 「わざわざそんなことせんでも」は、本人自身が「そんなこと、ではない」と思っているから美容外科をしたがっている。なので「そんなことせんでも」というこっちの前提が間違っている。

 なので心情的には9:1くらいで「やれ~」です。99:1くらいかも。
 なにかをどうにかしたいという感情が枯れて、したいことがないのが現状の僕なので、僕みたいになるなよ~という気持ちもある。

 美容のことで思い出したことが二つ。
 ひとつは、土屋賢二さんが引用してた、一般人へのTVインタビュー。
「コンプレックスに思っている体の部位はどこですか?」という質問に、めちゃくちゃブスでブサイクな女性が出てきて、いったいいくつ列挙するのだろうと思っていたら、「小指の形が悪くて」と言った話。
 不満に思うのも思わないのも、心、本人の心次第なので、体に手をつけるより心に問題があるのでは? ということ。

 ふたつは、デビュー前の斜線堂さんと話したとき、「めちゃくちゃ化粧濃いですね!」と言ってしまった話。
 言うのみならず、彼女の書いた小説のレビューに、「化粧は人に見せるだけじゃなく、自分を盛り上げるためでもある。盛り上がりすぎて日常では見られないほどやりすぎで見てて面白い小説」みたいな感想つけちゃった。大変反省。

 美容外科も、いいのでは。なんだか楽しそうだし。


5/10 久保崇○のツイット

> さて、3日間も連続で性とかエロとか言っているために、ぼくのことを気持ち悪いと思っている人もいるだろう。 でも、ぼくははじめからずっと、大真面目だ。 ぼくの目的は、まさにその「気持ち悪い」という感覚をなくすことにある。 Tue Apr 14 09:28:23 +0000 2015
> 性の話を、特に異性間ですることはなぜタブーなのだろう。同性間では盛り上がる場合さえあるのに。 それは、性行為がビジュアル的にエグいというのもあるが、1番の理由は、性による問題が数多くあるからではないだろうか。 Tue Apr 14 09:28:57 +0000 2015

> だからぼくは挑戦をすることにした。「性」にまとわりつく負のイメージを、正のイメージに変えてやろうと。 エロを発露して、かつ騎士道を守り続ければ、それは可能なのではないか。銀さんやサンジの様な、少年マンガ的な健全なエロを現実でもやれば、性の安全性を証明できるのではないか。 Tue Apr 14 09:35:37 +0000 2015
> だから、あえておどけて、無邪気な子どもっぽく、「○○さん、可愛いね!」とか「一緒にいるとドキドキしちゃう!」とか「肩に頭置いてもいい~?」などと積極的に言っていたのだ。 ただし傷つけることはしないように、必死に節度を守りながら。 Tue Apr 14 09:36:11 +0000 2015

> あれは実は、ぼくの精一杯の、この国に蔓延する「ゆがみ」に対する反抗だったんだ。 そして、「性」が人を傷つけるものではなく、人を楽しませるものになりますようにという、真剣な、切実な願いだったんだ。 Tue Apr 14 09:36:53 +0000 2015
> もちろんリスクはあった。 多少は引かれるかもしれない。気持ち悪いと思われるかもしれない。けど、ぼくはそれはあまり気にしなかった。 なぜなら、ぼくは女性に手を出さないと、ぼくも、ぼくの周りも分かっていると思っていたからだ。 Tue Apr 14 09:37:17 +0000 2015

> 特に演劇部内では、部活内恋愛禁止だし、何よりメンバー同士の関係は「仲間」だ。仲間に手を出すわけがない。恋愛感情を抱くどころか、エロい目で見たことすら一度もない。 その信頼が互いにあると思っていたから、「久保君、キモ・・・」と言われているのもギャグの範疇だと思っていた。 Tue Apr 14 09:37:44 +0000 2015
> そんな中で、先日の後輩の一言。「やっぱり下心あるんじゃないかと思います。気持ち悪いです」。 真面目にそう言われ、3年間信じていたものが崩れてしまった。 いくら自分の中で色々な理屈や信念があろうが、他人がそう思うのならそうなんだろう。やっぱり、気持ち悪いんだ・・・。 Tue Apr 14 09:38:14 +0000 2015
> ぼくが節度を守れていなかったのか。発露する対象の人を誤っていたのか。信頼関係が足りなかったのか。 それともはじめから、この信念が間違っていたのか? もし信念が間違っていたのなら、性欲を消せないぼくたちは、このゆがんだ世界でどう生きていけばいいんだろう? Tue Apr 14 09:38:48 +0000 2015

 涙……。


5/9 アンガーマネジメント

 人、五秒しか怒りが持続しないので、五秒以上怒ると、人間じゃない判定になって殺処分されるらしい。怖……。
 怒りといえば当然東郷潤です。うーん、いい話。怒りを抑圧してたら大変なことになるよ〜というお話。喜怒哀楽というくらいに、人に備わった自然な感情らしいですね、怒り。

 僕は怒りを覚えたことがぜんぜんまったく思い出せないくらい、ないんですが……。ないからこそ東郷潤の絵本に感銘を受けるのかなあ。
 感情がなくて悲しい欠陥人間です。 て、おい!誰が部落人(ぶらくんちゅ)じゃ!

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